レアメタルとレアアース

レアメタルの種類と特徴

レアメタルの確保のために各国が挙って確保競争が始まっている。レアメタルは元素表で希土類（Sc,Y,La）を1種とカウントして31種類と言われています。これらは、他の元素と合金を作って新たな性能や機能を持つ可能性があります。産業にとって欠くことのできない重要な原材料の一つです。これらを確保することが世界各国の重要なテーマになっているのです。

記号 [番号]	レアメタル名	用途	算出国
Li [3]	リチウム (Lithium)	携帯電話・PCの電池、Al−Li合金	チリ
Be [4]	ベリリウム (Beryllium)	高強度、高導電銅系展伸材,高強度、高伝導電性鋳鍛材	-
B [5]	ボロン (Boron)	ガラスの長、短繊維、うわぐすり、医療、防虫剤	-
Sc [21]	スカンジウム (Scandium)	触媒、新素材	-
Ti [22]	チタン (Titan, Titanium)	産業用機器、電子・情報機器、医療部品	オーストラリア、カナダ、南アフリカ共和国、ノルウェー
V [23]	バナジウム (Vanadium)	高張力鋼、V入りチタン合金、V入りアルミ合金	ロシア、中国、南アフリカ、アメリカ
Cr [24]	クロム (Chromium)	耐熱合金	カザフスタン、南アフリカ、インド
Mn [25]	マンガン (Manganese)	普通鋼、特殊鋼、アルミ合金、フェライト	ウクライナ、インド、オーストラリア、中国、南アフリカ
Co [27]	コバルト (Cobalt)	携帯電話・PCの電池、耐熱合金、磁気ディスク	RDコンゴ、オーストラリア、キューバ、ザンビア、ロシア
Ni [28]	ニッケル (Nickel)	携帯電話のアンテナ、ステンレス鋼	オーストラリア、ロシア、キューバ、カナダ、ブラジル
Ga [31]	ガリウム (Gallium)	半導体チップ、ＬＥＤ・ＬＤチップ、発光素子、ガリウム合金、酸化ガリウム	-
Ge [32]	ゲルマニウム (Germanium)	半導体、蛍光灯、ブラウン管、光通信機器、自動車部品、PETボトル	ドイツ、オーストリア、フランス
Se [34]	セレン (Selenium)	電子・情報機器、着色剤、着色剤、顔料、化学薬品	-
Rb [37]	ルビジウム (Rubidium)	光学機器部品（ガラス）、触媒、血液造影剤、電子機器部品	-
Sr [38]	ストロンチウム (Strontium)	カラーTV、フェライト磁石材料、光学ガラス、電着装置防錆剤	-
Y [39]	イットリウム (Yttrium)	永久磁石、赤色の蛍光体、高圧水銀灯	-
Zr [40]	ジルコニウム (Zirconium)	耐火物、ジルコニア含有製品、ジルカロイ製品	-
Nb [41]	ニオブ (Niobium)	ニオブ添加鋼、Nb含有耐熱合金、燃料電池、超伝導材	ブラジル
Mo[42]	モリブデン (Molybdenum)	ステンレス鋼、防錆剤、顔料、線板箔、特殊鋼	中国、アメリカ、チリ、カナダ、ロシア
Pd [46]	パラジウム (Palladium)	触媒剤、電気、電子工業用部材、歯科用金・銀・パラジウム合金	-
In [49]	インジウム (Indium)	低融点合金、蛍光体、透明電極、液晶パネル	中国
Sb [51]	アンチモン (antimony)	鉛蓄電池、硬鉛鋳物、難燃助材、添加剤	-
Te [52]	テルル (Tellurium)	快削鋼、化学工業添加剤、熱電変換素子	-
Cs [55]	セシウム (Caesium,Cesium)	触媒、ガラス添加剤、フッ素化剤、光電変換素子	-
Ba [56]	バリウム (Barium)	塗料、顔料用増量材、コンデンサ、印刷インキ、ゴム充填材、摩擦材	-
La [57]	ランタン (Lanthanum)	セラミックコンデンサ、光学ガラス	-
Hf [72]	ハフニウム (Hafnium)	原子炉部品、電子、光学機器、超強力耐熱合金	-
Ta [73]	タンタル (Tantalum)	高温度ヒーター、タンタルコンデンサー、タンタルコンデンサー、超硬工具の成分	オーストラリア
W [74]	タングステン (Tungsten)	超硬合金、自動車部品	中国、カナダ、ロシア、アメリカ、ボリビア、韓国、（北朝鮮）
Re [75]	レニウム (Rhenium)	石油精製装置触媒、電子部品材料、超耐熱合金	-
Pt [78]	プラチナ (Platinum)	触媒、電気・電子工業部品、電気・電子工業部品	南アフリカ
Tl [81]	タリウム (Thallium)	硫酸タリウム、酸化及びフッ化タリウム、合金添加元素	-
Bi [83]	ビスマス (Bismuth)	低融点合金、可鍛鋳鉄部品	-

これらの素材は、国家で十分に確保する戦略をたてて必要分量を確保すべき重要なもので、日本が将来に渡って生き残るための科学工業材料として確保していかなければならないものでしょう。

レアメタルの確保

レアメタルの確保が重要な産業ファクターになってきました。もともとレアメタルなんていい方をしているということ自体が希少な物ということなのですが、企業の業績を左右する自体になりつつあるようです。

レアメタルではありませんが、シャープが「太陽電池(シリコン：中国)」のシェアを奪われています。これこそレアメタル確保の重要性を顕著に表しているようです。

「液晶パネル(インジウム：中国)」にもレアメタルが重要なファクターを占めています。いくら世界の先端を突っ走っていても製造することができなくなればなんの意味もないですし、これを交渉に使われて肝心の技術が役立つことが無かったり、利益も大幅に減少することになります。

自動車や携帯電話の製造にはかなりの量のレアメタルが必要となり、生産を継続維持するためには、その確保がもっとも重要なファクターです。以下に製造に必要な代表的なレアメタルの一覧表を示します。

品名	部位	レアメタル	2005年生産量シェア
自動車	ボディ	クロム	南アフリカ(43.2%)
		ニオブ	ブラジル(88.2%)
	排ガス浄化触媒	プラチナ	南アフリカ(78.0%)
	足回り部品	マンガン	南アフリカ(22.5%)
	超硬工具	タングステン	中国(90.2%)
	蓄電池	ニッケル	ロシア(21.8%)
携帯電話	液晶透明電極	インジウム	中国(54.9%)
	コンデンサ	タンタル	オーストラリア(62.8%)
	蓄電池	リチウム	チリ(39.2%)
	モーター	希土類	中国(93.3%)

国家レベルで、JOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)では、石油や天然ガスとともにニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、パナジウムの国家備蓄を行っています。

こんごますますこれらの資源確保の重要性が増すことは間違いありません。日本の産業の基板の維持のためにこれらの資源の確保と備蓄はきちんと実行していかないと、折角の技術を活かすことができないばかりか、製造にも支障が出ることになります。

昨今、急速に価格が高騰している金も、電子部品製造には欠かせない金属であることは間違いありません。世界の余剰マネーで、原油や金といった商品市場に影響を及ぼすことには違和感を感じているのは私だけでしょうか。原油にしてもこれ以上の価格高騰は原油生産国は望んでいないような動きを示し出しました。

あまりに高価になると代替品が出てくるのは世の常ですから、彼らの危機感も当然のことでしょう。結局は自身の首を絞めることのないようにしなければならないのは誰でも理解できることですよね。余剰マネーの中には原油生産国の資金も含まれているのですからおかしなことです。

インジウム値崩れ

液晶パネルの電極材になるレアメタルの一つであるインジウムが、北京オリンピックに向けたパネル増産で需要が増加しているのにも関わらず値下がりが止まらないという不思議な現象を起こしています。

液晶パネルの増産とともに右肩上がりで需要も増加していましたが異変が生じています。現在のインジウムの世界消費量は年間1300トン程度と見込まれており、このうち80％が液晶テレビやプラズマパネルで消費されています。インジウムに需要はこれらのパネル次第ですが、パネル出荷が増加しているのにも関わらず、需要が伸びないのと増産が祟って価格が下落しているものと思われます。

インジウムの国際価格は現在1キロあたり480ドル程度で、2002年から2005年までに12倍の価格に高騰しました。しかし、インジウムの価格は2006年に下落に転じた後下がり続けています。

背景にあるのは、インジウムの大増産があるそうです。インジウムは亜鉛鉱石に含まれているのですが、高根になったので、世界中の亜鉛精錬会社がインジウムを取り出し始めたのと、主要国の中国、韓国、カナダ、日本などが相次いで増産をしました。結果的に世界の生産量は2005年から07年にかけて2−3割増えたようです。

リサイクルも盛んになり、使用済みの電極材から地金を再生する動きも活発に成りました。更に世界消費の80％を占める日本で、需要家の電極材メーカーの各社が買い控えて価格を押し下げています。インジウムの消費量は増加しているのにも関わらず、新規の調達量はゼロに等しいほど少ないそうです。

電極材メーカーが大量の在庫を抱えているそうです。各社は2004年から06年ごろにインジウムの調達を増やしたのです。インジウムがなくなるのではという不安要素から各社はパニック的な購入をしたそうです。その結果、インジウムは至る所から出てきたそうです。

インジウム価格が下がると各社は、評価損を計上し始め、損失を最小限に抑えようと在庫消費を優先し、新規調達を極力絞り込んでしまったというのが現状のようです。その結果がインジウム需要を更に緩めてしまい、価格を一段と下げることになってしまったようです。

原料のインジウムは値下がりを続けているようですが、加工品である電極材の価格は上昇しています。大手パネルメーカー向けの出荷価格は1−3月分が1キロ5万8千円から7万3千円と昨年より5％上昇しています。

電極材は需要が伸びても増産余力が限られているので、需要は引き締まっているようです。インジウム在庫の評価損を抱えている電極材各社が増産投資を抑制したという結果が影響しています。

業界はインジウムの値上がりを各社で分散負担し始めたということです。レアメタルと言っても様々なものがありますので一概に言えないのですが、このように増産余地のあるレアメタルもあるのですね。

金が鉱石一トン当り6グラム程度しか取れないといいます。使い古しの携帯電話1トンから15グラムも取れるそうです。これでは、金鉱脈は携帯電話や電子機器であるとも言えますよね。

レアメタル価格低下

レアメタルの確保が重要な産業ファクターになってきました。もともとレアメタルなんていい方をしているということ自体が希少な物ということなのですが、企業の業績を左右する自体になりつつあるようです。

レアメタルではありませんが、シャープが「太陽電池(シリコン：中国)」のシェアを奪われています。これこそレアメタル確保の重要性を顕著に表しているようです。

「液晶パネル(インジウム：中国)」にもレアメタルが重要なファクターを占めています。いくら世界の先端を突っ走っていても製造することができなくなればなんの意味もないですし、これを交渉に使われて肝心の技術が役立つことが無かったり、利益も大幅に減少することになります。

自動車や携帯電話の製造にはかなりの量のレアメタルが必要となり、生産を継続維持するためには、その確保がもっとも重要なファクターです。以下に製造に必要な代表的なレアメタルの一覧表を示します。

品名	部位	レアメタル	2005年生産量シェア
自動車	ボディ	クロム	南アフリカ(43.2%)
		ニオブ	ブラジル(88.2%)
	排ガス浄化触媒	プラチナ	南アフリカ(78.0%)
	足回り部品	マンガン	南アフリカ(22.5%)
	超硬工具	タングステン	中国(90.2%)
	蓄電池	ニッケル	ロシア(21.8%)
携帯電話	液晶透明電極	インジウム	中国(54.9%)
	コンデンサ	タンタル	オーストラリア(62.8%)
	蓄電池	リチウム	チリ(39.2%)
	モーター	希土類	中国(93.3%)

国家レベルで、JOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)では、石油や天然ガスとともにニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、パナジウムの国家備蓄を行っています。

こんごますますこれらの資源確保の重要性が増すことは間違いありません。日本の産業の基板の維持のためにこれらの資源の確保と備蓄はきちんと実行していかないと、折角の技術を活かすことができないばかりか、製造にも支障が出ることになります。

昨今、急速に価格が高騰している金も、電子部品製造には欠かせない金属であることは間違いありません。世界の余剰マネーで、原油や金といった商品市場に影響を及ぼすことには違和感を感じているのは私だけでしょうか。原油にしてもこれ以上の価格高騰は原油生産国は望んでいないような動きを示し出しました。

あまりに高価になると代替品が出てくるのは世の常ですから、彼らの危機感も当然のことでしょう。結局は自身の首を絞めることのないようにしなければならないのは誰でも理解できることですよね。余剰マネーの中には原油生産国の資金も含まれているのですからおかしなことです。

円借款で希少金属確保

政府は途上国で、希少金属(レアメタル)を算出する鉱山周辺のインフラ整備に乗り出すことにしました。

鉄道や道路などの整備事業に円借款を供与し日本企業の進出の後押しをする。

政府が支援する鉱山周辺のインフラ整備事業

アルゼンチン	三菱マテリアルテクノ	湖からリチウム回収するためのインフラ整備
チリ	パンパシフィック・カッパーなど	銅鉱床開発のための用水確保や道路整備
フィジー	日鉄鉱コンサルタント	鉱山操業に必要な発電所建設
ブルキナファソ (西アフリカ)	三井物産	マンガン鉱山からの鉱山から鉱石を積み出すための鉄道整備
ベトナム	伊藤忠商事など	ボーキサイトなどの鉱山周辺から輸出港までの安定輸送
ベトナム	双日、豊田通商	レアアース鉱山の道路や電力網整備
ペルー	三井金属など	鉱山周辺の電力輸送網整備

とにかく、リサイクルで再利用をする市場も拡大していますが、代替品が発見されれば一気にそちらへ傾斜することもあるので、掛けに近い面もあることも否めません。

主なレアメタル

プラチナ	燃料電池用触媒	93％
インジウム	液晶パネルの電極	77％
コバルト	小型２次電池	70％
マンガン	特殊鋼	57％
ニッケル	ステンレス鉱	46％

【希少金属(レアメタル)

『埋蔵量が少ないか、技術やコストの面から抽出が難しい金属の総称。ニッケル、コバルト、インジウムなどがあり、経済産業省は31種類を指定している。ステンレスなどの基礎材料産業からハイテク産業にまで幅広く利用されており、新興国の経済発展に伴い需要が急速に増している。

レアメタルは、資源がロシア、中国、アフリカなど特定の地域に偏在しており、供給不安や価格変動のリスクが常にある。こうした特徴から、資源の少ない日本は官民共同で調達先の多様化や備蓄を進めている。』

一方でレアメタルのビスマスが２年９ヶ月ぶりに安値となっていて、中国の需要回復が見込まれていますが、在庫解消が予想以上に遅れているためとされています。

【ビスマス】

『鉛の代わりにはんだ材料として使用され、合金の添加剤の他、整腸剤などの医薬品や化粧品としても使用される。

電気・熱電導性の他、融点が低い特性を持つ。

国内需要は約1400トンで、約３分の２を輸入に依存し、６割が中国産。国内では非鉄４社が生産しているが、鉛生産の原料が鉱石から廃バッテリーに切り替わっており、今後も国内生産の減少が見込まれる。』

とにかく、日本の製造業にとっては致命的となりますので、積極的な確保が望まれます。

レアメタル(希少金属)関連レポート

• 2010年再度レアメタル高騰【Release date:2010年01月30日】
• インジウムを95％回収技術確立【Release date:2009年10月27日】
• 廃家電から希土類(レアアース)回収【Release date:2009年10月13日】
• 円借款で希少金属確保【Release date:2009年08月01日】
• レアメタル価格低下【Release date:2008年09月05日】
• インジウム値崩れ【Release date:2008年03月19日】
• レアメタルの確保【Release date:2007年11月17日】
• レアメタルの種類と特徴【Release date:2007年08月04日】

インジウムを95％回収技術確立

希少金属(レアメタル)であるインジウムを大阪府立大学の吉田弘之教授とシャープが共同で、廃棄した液晶パネルから回収する新技術を開発したと発表しました。

使用量の95％を回収できるということです。

インジウムは様々な電子機器で使用されており、高価で世界的に需要が大きいということです。

使用量の多い液晶パネルから回収・再利用するのに有望で、インジウムの安定調達に役立つということです。

これからは、製品を創る場合に、回収のことも考えて製品を作る必要がある用です。

---

インジウムは、『希少金属(レアメタル)の一種。

液晶テレビをはじめ太陽電池などの電極に使用する。

日本は世界消費の５割以上を占めており、最大の輸入国。

液晶パネルなどの製造工程では製品に付着しなかったインジウムを回収・再利用している。

一方、不良品や廃棄品から回収する手法は効率が悪く、リサイクルは進んでいない。』

---

インジウムは液晶パネルの電極に必要な材料であり、ガラス基板に付着させて使っており、パネルを酸で溶かして特殊な膜でインジウムを回収する方法があるが、手間がかかる上に、高コストで理容が進んでいなかったということです。

新技術は、「ガラスを細かく砕いてから、水酸化ナトリウム溶液に入れて、高温高圧で処理することにより、水酸化ナトリウム溶液を分解力の高まる「亜臨界」状態にし、インジウムを個体のまま約95％回収することに成功した」ということです。

インジウムを使用した電子機器はそのまま廃棄され、代表的な「都市鉱山」となっていて、希少金属(レアメタル)であるインジウムは高価な上に価格高騰の可能性もあり、液晶パネル工場で発生する不良品や廃棄品から回収する技術開発の要求が高まっていました。

いずれにしても希少金属(レアメタル)は、回収再利用する技術を安く開発することにより国際競争力が高まるとともに価格高騰も抑えることに貢献できます。

製品を作る際には、このような回収再利用に配慮することが求められそうです。

他にも「廃家電から希土類(レアアース)回収」の技術開発も進められていて、競争力を強くするのに必要です。

少し不思議なのは、最大の生産国であるはずの「韓国」の使用量が日本より低いというような説明になっています。

「台湾」は中国から容易に確保していると思いますが、それにしても使用量が多いということは太陽電池が大量に使っているということでしょうか。

シャープが太陽電池の生産であっという間に首位の座から滑り落ちたのは、インジウム確保に失敗したからであるような報道があったことも記憶に残っています。

虚総力確保のための技術開発には期待が高まっていると思います。

廃家電から希土類(レアアース)回収

三菱マテリアルは、省エネ家電やハイブリッド車のモーター用磁石に使用する「希土類(レアアース)」を廃家電から回収・再利用する事業を開始します。

「希少金属(レアメタル)」や「希土類(レアアース)」は、国内での需要が急増する見通しですが、調達先の中国が輸出規制を強化しているため回収事業で国内調達分を補う予定です。

茨城県の家電リサイクル工場で実証実験を始め2014年までに事業化を目指すということです。

希少金属確保などの確保は喫緊の課題となっています。

今回、回収するのは「ディスプロシウム」という希土類で磁石に添加し高温でも高い磁力を発揮する効果があるものです。

エアコンの圧縮機やドラム式洗濯機のモーターに多く使用され、製品の省エネ化に貢献しています。

三菱マテリアルはパナソニックと共同出資でパナソニックエコテクノロジー関東(茨城県稲取市)でエアコンの圧縮機を解体して回収する技術を確立する計画で、エアコン1台当たり6−7gの「ディスプロシウム」を回収できるということで、これまではエアコンから磁石を取り出すのが難しく、電路メーカーにスクラップとして売却していました。

三菱マテリアルは、実証実験終了後、関西リサイクルシステムズ(大阪府枚方市)など全国六拠点の家電リサイクル工場で「ディスプロシウム」を回収・再利用する方針で、これまでにも廃家電から金や銀など希少金属を回収していますが、「ディスプロシウム」を追加する計画です。

「ディスプロシウム」の埋蔵量は９割以上が中国に偏っていて、2008年1月から輸出関税を10％から25％に引き上げて資源管理を強めていて、需給逼迫が懸念されています。

新金属協会(東京都港区)の推計では「ディスプロシウム」の日本国内需要は約600トンで日本が世界一の消費国で今回の回収で５％程度が再利用できる見通しであるということです。

それにしても、中国はきちんと戦略を立てているのに、日本の官僚や企業はどうなっているのでしょうか。

どちらが資本主義国で共産主義国か解りませんね。

日本のひ弱な戦略が目に見えてきます。

2010年再度レアメタル高騰

電子機器やエコカーの生産に欠かせないレアメタル(希少金属)の国際価格が相次いで急伸していると報道されています。

インジウム、モリブデンといった主要品は昨秋と比較して２−４割高騰しています。

好調に推移する中国の家電消費に加えて日本の自動車や家電の生産回復を受けて需要が上向いたのが主因であるとしていますが、需要が先ではないのでしょうか。

売れないものを作るはずないのですから、少々おかしな記事となっていると思います。

一部に投機的な買いも入っていて、市場の過熱感が強まることを懸念する向きも多い。としています。

経済危機から投資を引き上げた資金が金相場に向かっているようでしたが、レアメタルにも焦点が当たってきたということでしょうか。

レアメタル用途と主産国

主な用途	主産国
▼モリブデン
特殊鋼の添加剤	中国、米国、チリ
▼バナジウム
特殊鋼の添加剤	南アフリカ、中国、ロシア
▼レアアース(ネオジム、ジジムなど)
永久磁石、研磨剤	中国
▼インジウム
液晶テレビの電極材、太陽電池	中国、韓国、日本
▼アンチモニー
合成樹脂の難燃助剤、塗料	中国
▼コバルト
２次電池、特殊鋼の添加剤	コンゴ民主共和国、カナダ、米国

算出国が列挙されていますが、いわゆる都市鉱山に眠る希少金属では日本が際立って抜きん出ているというレポートが2008年に発表されていてます。

『レポートでは、「金」は約6,800トンと世界の現有埋蔵量42,000トンの約16%にも上り、最も埋蔵量の多い南アフリカをしのいでいた。

銀も、60,000トンと23%を占め、ポーランドを超えて一位。液晶ディスプレーや発光ダイオードなどの原材料として、需要の逼迫と資源枯渇が心配されている希少金属インジウムに至っては、世界の埋蔵量の38％が都市鉱山として国内に存在するという結果になっている。』

上記のレポートが正しいとすれば、家庭のタンスや引き出しに眠っている金製品を回収して売り払えば日本の国家赤字など一般で吹き飛ぶ計算になりそうです。

主要国・機関の金保有量(2009年05月26日の日本経済新聞等)では、1位の米国の保有量が8133.5トンで、日本は765.2トンしかありません。

このレポートにある金を保有量に加えると一躍二位になります。

レアメタル(希少金属)関連レポート

• 2010年再度レアメタル高騰【Release date:2010年01月30日】
• インジウムを95％回収技術確立【Release date:2009年10月27日】
• 廃家電から希土類(レアアース)回収【Release date:2009年10月13日】
• 円借款で希少金属確保【Release date:2009年08月01日】
• レアメタル価格低下【Release date:2008年09月05日】
• インジウム値崩れ【Release date:2008年03月19日】
• レアメタルの確保【Release date:2007年11月17日】
• レアメタルの種類と特徴【Release date:2007年08月04日】

過去のレポートを探ってみると結構繰り替えし登場しています。

参考になれば幸いです。