
奈良県山辺郡山添村大塩に鎮座する「なべくら渓〔鍋倉渓〕」です。
確か5月の連休くらいに神野山の「つつじ祭り」があったような気がしてやってきたのですが、道路沿いには幟が立っていたのでやって来たのですが、場所が良く解らなくて橋の所に異様な光景というか少々変わった光景を見て脇の駐車場に車を入れたら駐車料金がいると言われてしまって思案していたのですが、いろいろと説明して頂いて「つつじ」は山頂にあると聞いて歩いて登ることにしました。
それにしても必見の景勝です。
見に来て損はありません。

『奈良県指定 名勝
奈良県立月ヶ瀬神野山自然公園・第一種特別地域
なべくら渓
この地点から上方へ五百五十メートル、下方へ百メートル、幅平均二十五メートルにわたって巨岩怪石がるいるいと続いています。
そしてこの谷を流れ下る水は岩石の下を深く伏流し、岩の間からかすかにその水音のみを聞くことが出来ます。
これは地質地形上、特別の条件をもとに生じた極めて珍しい風化現象で、全国的にも学術上の価値が高く評価されています。

神野山周辺の岩質
この附近の大和高原地域一帯は、花崗岩質で形成されていますが、その中でこの神野山だけは角閃石斑糲岩という深成岩(火成岩の一種)でできており岩質が非常に硬いために浸食にたえてこの山容ができたものと考えられています。
「なべくら渓」成因
伊賀の天狗と神野山の天狗がけんかをして投げあった岩だという伝説や、火山の溶岩が流れだして固まったものだなどといろいろな俗説はありますが、この成因は前地質時代に山の表面が風化して、次第に細かく土壌化する際に、前記の角閃石斑糲岩の特に堅い部分が風化にたえて岩石のまま残り、当寺の谷底に自然に移動して集まったもので、その後地形の変化に伴って現在のように浅い谷となり岩石が昔の谷にそのまま長い列をなして堆積したものと考えられています。そして流れくだる水は一層谷底を深く浸食して岩石の下をくぐり全くの伏流となったものといわれています。
「なべくら」の名称の由来
堆積した岩のそれぞれが黒くすすけた色をしており鍋の底をれんそうされるところからこのように呼ばれるようになったと言い伝えられています。
奈良県
山添村』
※ 境内掲示より

『鍋倉渓(天の川)
古代人が築いた巨石構造物ではないかと考えられているが、その方法について謎は多い。
天の川を地上に映したものと考えられている。
山添村いわくら文化研究会』
※ 境内掲示より

『山添村の不思議
巨石信仰と古代たなばた信仰
夏の夜空を見上げると、きらめく天の川とそれを彩る3つの星が目につきます。
白鳥座のデネブ、こと座のベガ(織女星)、わし座のアルタイル(牽牛星)です。
有名な七夕祭りのお星様です。
この天の川と3つの星を地上に移し取った場所があると言えば、あなたは信じますか。
実は、神野山の鍋倉渓、王塚、天狗岩(岩)、八畳磐(岩)がそれぞれ天の川と3つの星を地上に移したものを考えられます。
これは単なる偶然なのでしょうか。
これらの磐や塚は、何らかの意図を持って人工的に、この場所に置かれたのではないでしょうか。
古代の人々は、夏の夜空に輝く天の川と3つの星は神々しく、恐れおののく神そのものだったのだろうと想像できます。
天空の星と地上の磐が一致するとき(1年一度の七夕の頃)、天井の神が君臨すると考えられ、安定した生活を願う儀式の場であったかも知れません。
山添村いわくら文化保存会』
※ 境内掲示より
絶対に見るべき価値は十分にあります。
実物を見ると納得できます。